藻場保全活動について

藻場とは?

藻場(もば)とは、海藻が集まって生えている場所で、海の生き物を育む大切な “海の森” です。しかし現在、日本各地でこの海の森が急速に失われています。 海底から海藻が消え、まるで山火事の後のように何も残らない状態を「磯焼け」と呼びます。江の島の海でも磯焼けが進み、とくに大型海藻の減少が深刻です。EFPでは藻場保全活動として、ワカメ・カジメ・アラメなどの大型海藻の再生に取り組んでいます。 小さな一歩の積み重ねが、海の未来を育てる力になると信じて、活動を続けています。

 



🌱藻場を再生するための取り組み

スポアバックの設置

海藻の種である「胞子(スポア)」を入れた袋を、海中の岩場に固定していく作業です。 アラメやカジメの胞子は、葉の表面にできる“しみ”のような 子嚢班(しのうはん) に宿ります。この子嚢班が現れた葉を採取し、ネットに入れて海底の岩に設置します。

晩秋に沈めたスポアバッグから放たれた胞子は、冬のあいだに岩へ付着し、翌年の春ごろには小さなアラメ・カジメとして成長し始めます。海藻が根付きやすい場所を選び、潮の流れや光の量を確かめながら、一つひとつ丁寧に設置していく――この工程が、未来の藻場を育てるための最初の大切なステップです。


カジメロープの設置

神奈川県水産技術センターで育成されたカジメを巻き付けたロープを、海底の岩場に設置する作業です。このロープは、海藻の種(胞子)を海に届けるという点で、スポアバッグと似た効果があります。ただし、設置直後のカジメは食害魚(アイゴなど)の影響を受けやすいため、 海水温が下がり、食害が落ち着く1月以降に作業を行います。 海藻が安全に根付き、成長できるタイミングを見極めながら、慎重に設置していきます。


ワカメの種糸作成

EFPでは、養殖ワカメの種糸(たねいと)づくりにチャレンジしています。 これまでは東京湾で作られた種糸を使用してワカメの養殖を行っていましたが、 東京湾と相模湾(江の島)では海水温に3℃以上の差があり、東京湾のほうが水温が低いため、設置の最適なタイミングが合わないという課題がありました。そこで令和7年度から、自分たちの海に合った自作の種糸づくりに取り組み始め、1年目はなんとか成功することができました。養殖ワカメの継続は、周辺の天然ワカメの再生にも良い影響を与えると考えています。地域の海に適した種糸を自分たちで作ることは、 江の島の海を未来につなぐための大切な取り組みです。


アオリイカ産卵床の設置

藤沢市・新林公園で伐採された木材を活用し、アオリイカの産卵床として海底に設置しています。磯焼けが進んだ海では海藻が減り、多くの生き物が産卵場所や隠れ家を失っているのが現状です。そこで、伐採木を海底に沈めることで、産卵に適した“ゆらぎ”のある構造物をつくり、アオリイカが安心して卵を産みつけられる環境を整えています。また、この産卵床は 小魚の隠れ場所 としても機能し、海の中に“複雑な構造”をつくることで、生き物が戻りやすい環境づくりにもつながります。さらに、アオリイカが食害魚(アイゴなど)の天敵であるという説もあり、食害魚対策の一助になる可能性があるとも考えられています。伐採木を活用した産卵床の設置は、海藻だけでなく、生き物の循環そのものを支える大切な取り組みです。

 


■ この活動は公的支援を受けて実施しています

EFPの藻場保全活動は、国の「漁場生産力・水産多面的強化発揮対策」および藤沢市の補助を活用して実施しています。 地域の海を守るため、行政と連携しながら計画的かつ継続的に保全活動を進めています。